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2009年 05月 13日

前外務次官の「3.5島返還」発言

d0007923_0491993.jpg2009年4月17日付の毎日新聞で、谷内正太郎政府代表(前外務事務次官)が北方領土問題の打開に関して「私は3.5島でもいいのではないかと考えている。・・・択捉島の面積がすごく大きく、面積を折半すると3島プラス択捉の20~25%くらいになる。折半すると実質は4島返還になるんですよ。」と発言したことが報道された。この報道が波紋を広げると谷内代表は、当初発言を否定したが、その後「誤解を与えたかもしれない」と弁明し、中曽根外務大臣から厳重注意を受けた。

毎日新聞によれば、谷内氏へのインタビューには記者3名、カメラマン1名が同席し、内容は氏の同意を得て録音されていた。そのため、「記事が全て」とコメントした同社に対し、政府は抗議しなかったのだろう。

北方領土の面積
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3.5島返還発言を聞いて怒った国民がどれ位いるかはわからないが、プーチン首相が来日した09年5月11日付の主要紙朝刊(見た限り毎日、日経、読売、産経)に載った日本国際フォーラムによる意見表明「対露領土交渉の基本的立場を崩してはならない」において、学者、返還運動関係者、政治家等が、「関係者が長年血の滲む努力で築いてきた平和条約交渉の土台」が崩れると緊急アピールしている(「妥協を示唆するやり方は、交渉の進め方としてあまりにも軽率」とも言っている)。政府は、このアピールに対し、国益上問題があるとして撤回するよう何度も要求したそうだ。

一方、3.5島論にさほど違和感を感じない国民もいるのではと思う。サハリンでの日露首脳会談(本年2月18日)で、両首脳は、領土問題を今の世代で解決すること、メドヴェージェフ大統領の言う「新たな、独創的で、型にはまらないアプローチ」の下、最終的な解決につながるよう作業を加速させることで一致したのだから。

4島返還が達成されるまで粘り強く百年単位でがんばるか、「向こうが2島、こちらが4島では進展しない」(麻生首相)から妥協点を探るかは、最高権力者の政治判断次第である。近年の日露の首脳会談では、5月12日の麻生・プーチン両首相の会談も含め、「これまでの諸合意・諸文書に基づいて領土交渉を継続/加速することで一致」といった内容の表明がひたすら繰り返されている。その一方、「貿易、経済分野の関係強化は領土問題解決への環境づくり」というフレーズのもと日露の経済関係は着実に進展している。
特に日本側にとって、戦後63年過ぎた今となっては、領土問題は先送りするしかないのだろう。今更妥協策ではこれまでかけた時間が無意味になる。世の中には北方領土よりも優先して政治生命を賭けなければならない問題が山積している。北方領土を巡って戦争が起きるわけでもない(たぶん)。

谷内代表の3.5島返還発言は国内外への「観測気球」という見方もあるが、この発言で一番空しい思いを強めているのは、出口の見えてこない返還運動を懸命に行っている元島民をはじめとする人々及び根室等北方領土隣接地域の住民だろう。
 
【2009年4月21日毎日新聞、5月1日・8日北海道新聞、5月12日共同通信より】
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by itsumohappy | 2009-05-13 01:03 | 歴史・領土問題


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