最近の話題から

最近の報道からロシアに関する記事を紹介します。

●ダニーロフ寺院の鐘の返還

d0007923_0342342.jpgハーバード大学に渡っていたモスクワのダニーロフ修道院の鐘18個が同修道院に返還されることとなり、このうちひとつ(左)が9月12日、76年ぶりに戻り祝賀式が行われた。

ダニーロフ修道院(下)は、13世紀にアレクサンドル・ネフスキーの息子ダニール・モスコフスキー(最初のモスクワ大公)によって造られ、モスクワ最古と言われている。アレクシー二世総主教の公邸があり、ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の本部が置かれ、格式の高い修道院である。
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同修道院はロシア革命後、反宗教政策による迫害を受け、スターリン時代の1930年に閉鎖された。17~18世紀頃制作された18個の鐘は、溶かされる直前に裕福な米国人事業家・慈善家クレーン氏により鉄くず同然の値段で買い取られ、ハーバード大学に寄付された。

1983年の修道院再開後から鐘の返還交渉は始まり、約20年間に及んだ。この度、レプリカの鐘を制作することでハーバード側と合意。今後1年かけて残りの鐘がロシアへ移送される。
この返還事業は、石油・金属関係の企業家ベクセルベルク氏(2004年にフォーブズコレクションのファベルジェ・イースターエッグを1億ドルで競り落としたことで有名)の資金援助により可能となった。
【7月26日朝日新聞、9月13日東京新聞、モスクワタイムズ、ハーバード大学のサイトより】

●ロシア富豪、ロストロポーヴィチ夫妻の美術品を一括買い取り
これもオリガルヒ(新興財閥)関係の話題。
9月18~19日、ロンドンのサザビーズで、2007年4月に死去したチェリスト、ロストロポーヴィチ氏とヴィシネフスカヤ夫人が所蔵していた18~20世紀のロシア美術コレクション450点が競売される予定であったが、競売日前日に中止された。目玉オークションが中止になるのは異例。

オークションのハイライトのひとつだった
グリゴーリエフ作「ロシアの顔」

d0007923_0415643.jpg美術品は、金属事業で財をなしたロシアの富豪で、ガスプロム系の投資会社代表などを務めるウスマノフ氏が全て購入した。サザビーズは額を明らかにしていないが、落札予想総価格を大幅に上回る約4000万ドルを費やしたと伝えられている。

夫妻のコレクションは、まだロシア美術品が現在のように高騰しない頃の約30年前から収集し続けたもので、エカテリーナ女帝が所有していた陶磁器、レーピン等の絵画、家具、ガラス工芸品等からなる。

幻となったオークションのカタログ
d0007923_0422493.jpgウスマノフ氏は、このコレクションをロシアにあるべきロシア美術と語り、政府に寄贈する意向と言われる。展示のための新しい美術館がモスクワにできる可能性もあるとのこと。

美術品は、ロストロポーヴィチ氏の生前より売却する計画ではあったが、氏の死後、ヴィシネフスカヤ夫人は、音楽や社会活動のかたわらコレクションを維持するのがより困難となり、手放すことになった。
【9月18日ガーディアン、9月14、18日モスクワタイムズより】



●ドストエフスキー「罪と罰」がTVドラマ化
「罪と罰」がロシアで初めてTVドラマ化され、この秋、ロシア全土で放映される予定。

   「罪と罰」の舞台のひとつ、グリボエードフ運河にかかるコクーシュキン橋
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ドラマ化した映画監督スベトザロフ氏によれば、制作にあたり、ドストエフスキーの研究書等を通じ作家の意図を丹念に探り、服装、言葉に至るまで原作の忠実な再現を目指したとのこと。
8回シリーズのTVドラマの他、映画版も制作された。プロデューサーのシグレ氏は、日本での公開に意欲的だそうだ。
 
ラスコーリニコフ役のコシェヴォイさんとソーニャ役の
フィロネンコさん(プロラインフィルムより)
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【8月19日北海道新聞、プロラインフィルムのサイトより】
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by itsumohappy | 2007-09-20 01:02 | ロシア | Comments(2)
Commented by えいはち at 2007-09-20 12:57 x
「鐘」の記事をタルコフスキーの「アンドレイ・ルブリョフ」を思い出しながら読み、続いて、ロストロポーヴィチの美術品も気になるなあなんて読み進んでいきましたが、やっぱり「罪と罰」に一番食いついてしまいました。高校生のとき、「ロシア文学映画祭」みたいのが新宿東映であって、4時間くらいの「戦争と平和」見て、別の日に「罪と罰」も見に行きました。白黒作品でしたが、ラスコーリニコフ役はやっぱり今回と似た感じの人でした。今回の映画版もきっと日本公開されるでしょう。「カラマーゾフ」の新訳があれだけ売れる国ですし。ソーニャ役女優さん、いいですね~。小石川のロシア料理「ソーニャ」のピロシキも美味しいですよ。
Commented by itsumohappy at 2007-09-21 23:39
鐘は正教では「歌うイコン」なんだそうです。タルコフスキーは近所のお店にも置いてなくて。。ルブリョフの映画はみたことないです。イコンは美術館で見ました!
「戦争と平和」は大作でしたね。戦闘シーンなど迫力あって。ピエールがよかったです。「罪と罰」は未見です。小説もあらかた忘れてしまったので、また読んでみようかと思います。「罪と罰」なら公開されるかもしれませんね。2人ともこれがスクリーンデビューのようです。
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