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「ナーシ」のサマーキャンプ

「ナーシ」(Наши/英語でOurs)は、2005年に結成されたプーチン大統領支持の青少年団体。大統領顧問であるスルコフ氏が組織したとされる。団員は現在約10万人で、孤児院や老人ホームで奉仕したり、青少年に酒・タバコを売る店にピケを張るなど「愛国的活動」を行っている。最近の目立った活動では、07年4月、エストニア政府が、首都タリンにあったソ連兵の銅像を「ソ連による占領の象徴」として移設したことに対して、在モスクワのエストニア大使館を包囲して抗議デモを行ったことがあげられる。「ナーシ」の活動の資金源は明らかにされていないが、クレムリンが援助していると言われる(当局は否定)。

ロシア国家とプーチン大統領の偉大さを称え、大統領を批判する者・政権に敵対する者をファシスト呼ばわりするこの団体は、しばしば「大統領の親衛隊」とメディアに出ているが、組織的にはソ連時代のコムソモール(共産主義推進のための青年組織)に近いもののようだ。

7月11日から23日まで、その「ナーシ」のサマーキャンプがモスクワ近郊セリガー湖畔で開かれ、青年1万人が参加した。学習会やカラシニコフを使った教練が行われたが、教練は、戦闘のためというより軍隊での新兵いじめ(ロシアでは深刻な問題になっている)に対抗するためのプログラムとのこと。

7月22日には、プーチン大統領の後継者候補とされるイワノフ、メドベージェフ両第一副首相がそろってこのキャンプを訪問し、青年達と対話を行った。その際、イワノフ氏が国際問題、メドベージェフ氏が内政を語ったということで、前者が大統領(憲法で外交を担当すると規定)に、後者が首相(内政を担当)に就任するとロシア国内で観測されているそうだ。

「ナーシ」のサマーキャンプ_d0007923_084155.jpg政治団体「もう一つのロシア」の活動などで、大統領を批判しているカシヤノフ元首相(左)と元チェス世界チャンピオンのカスパロフ氏(中央)の娼婦姿のポスターが、キャンプサイト内の「赤線地帯」と名づけられた場所に掲示された。
(Sergey Ponomarev氏撮影/AP)


(2007年7月19日ロイター、18日AP、24日北海道新聞ほか より)
by itsumohappy | 2007-07-25 00:18 | ロシア
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