マリインスキー・バレエ「愛の伝説」の感想です。(11月27日/東京文化会館) 【出演】 バヌー/ウリヤーナ・ロパートキナ シリン/クリスティーナ・シャプラン フェルハド/アンドレイ・エルマコフ 大臣/ユーリー・スメカロフ マリインスキー歌劇場管弦楽団/アレクセイ・レプニコフ指揮 振付:ユーリ・グリゴローヴィチ 報道によれば、「愛の伝説」は、日本では37年ぶりの全幕上演とのこと。あまり観る機会がなさそうなので、平日で心配だったけれども直前に購入。開演前に行われたトークには間に合わなかったが、舞台にはぎりぎり間に合ってよかった。初め土曜公演にするつもりだったが、やはりロパートキナの名演を見ることができて何より。 1961年、マリインスキー(キーロフ)劇場で初演されたこの作品は、トルコ出身でソ連に亡命した共産主義者の詩人、ナーズム・ヒクメットの戯曲に基づく。音楽はアゼルバイジャン出身のメリコフが作曲。舞台は中近東の設定のようだが、装置も衣装も簡素・単純で、あえてきらびやかさは避けている印象。というのも、この作品が、よくバレエにあるおとぎ話ではなく、自分の幸福を犠牲にしてでも、苦しむ人民のために尽くす、というお話のためか。そういう共産主義プロパガンダ?風なことが、日本でほとんど公演されなかった理由のひとつかも。 心情を表す動・静の様々な群舞の構成で、物語が進行する感じ。踊りそのものを楽しむバレエ。他のグリゴローヴィチ作品「スパルタス」のように男性の群舞も多い。ソ連時代のある種の様式美はこのようなものだったのだろう。 ロパートキナは、体が| ̄| 形に裏返しになるようなしなやかさ。怒りめらめらで、ただ座っていてもその気が満ちるような別格の存在感である。 大柄な大臣も堂々とした演技。マリインスキーの新生というシャプランは普通に上手なのだろうが、素人の私にはどの辺りが特別かはよくわからなかった。
by itsumohappy
| 2015-12-08 13:39
| 演劇
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