プーシキン美術館展

モスクワに行ったとき、道路の混雑で時間的余裕がなくなって行かれなかったプーシキン美術館。あー今でも心残り。なので、上野にやってきた出張展示会「プーシキン美術館展 シチューキン・モロゾフ・コレクション」に初日に行ってきた。朝から雨が降って暗い天気。込んでいるのか空いているのか全然見当つかなかったが、早目が無難かと思い9時半ちょっと前に着いた。会場の都美術館は狭くて暗く、雑然とした所で私が嫌いな建物のひとつ。今日はさすがに外に行列はできていなかったけれども、会場内に入って鑑賞しだすと、どんどん人が入ってきてこれ以上込んでは混雑で身動きとれなくなりそうなくらいだった。

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印象派の絵画は全般に明るく親しみやすい。西洋絵画を見るとき、誰もが最初に馴染むジャンルなのではないだろうか。私がはじめて見た印象派の展示会は「ソ連邦所蔵の-フランス近代絵画展-プーシキン・エルミタージュ両美術館から」(1979年)で、親に頼んで連れて行ってもらった記憶がある。絵画展の図録を買ったのもこのときが最初だ。会場も同じだが今の建物だったかは覚えていない。この時買ったポスターや絵葉書は今でもある。今日の展示会に当時見たものが6,7点あった。「白い睡蓮」などに26年ぶりに再会したわけだ。

今回の展示では1階ではルノワール「黒い服の娘たち」がよいなーと思った。少女のかわいらしい表情、黒い服なのに画面が暗く見えないテクニックが印象に残る。2階では目玉であるマティス「金魚」。これを目当てに今日は行ったようなものだ。
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マチスは別に好きではないが、この絵はとにかく見ていて飽きない要素に溢れている。構成、色彩、タッチ。鑑賞している周りの人が「小学生の絵みたいねー」なんて話していたが、確かになぐり書き風で遠近もへんだし、もののあるべき直線・曲線など全く無視している。しかし、実はとても緻密な計算がされているように思う。そして緻密でも、描きながら瞬間芸のように色を載せてそれを感じさせないようなテクニック。黒い床?上のテーブルにある巨大な金魚鉢と周辺の植物の他には壁紙?と階段の手すりなのかなんなのか、不協和音の画面ながら不思議に統一感があるし。金魚の白目も何気にかわいいし。緑、ピンクを散らした中心に赤い金魚という色彩のハーモニーもポップで、ほんと面白くて楽しい絵だ。

展示会の作品は、もともとシチューキンやモロゾフが心血注いで集め、それぞれの邸宅を飾っていたものだ。革命後国家の所有になり、彼らはどんな思いだったろう。その後、プーシキン美術館やエルミタージュ美術館がコレクションを分割所蔵することになった。モスクワ旅行時のロシア人ガイドは、モロゾフは革命後パリで自殺したと言っていた。シチューキンの遺族は美術品の返還を願っているともどこかで読んだ。でも後世いろんな国の人が愛で外貨も稼ぎ、大事にされているわけだから幸せな絵画人生?なんじゃないかな。
              
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   ルノワール「黒い服の娘たち」とモネ「白い睡蓮」
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by itsumohappy | 2005-10-22 22:17 | 展示会 | Comments(0)
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