ロシアが気になる

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2010年 06月 13日

最近の話題から

最近の報道から北方領土に関する話題を紹介します。

●ビザなし交流をめぐる動き
1992年から毎年実施されている四島交流(ビザなし交流)事業は、本年も5月から開始され、すでに日本側からの訪問は2回実施されている(5月末現在。国後、色丹に各60名程度)。領土返還の環境づくりの事業であるため、交流プログラムでは、現地ロシア人住民と領土問題を議題とする「対話集会」が毎回行われてきた。しかし、ロシア側は、今年度の交流計画策定段階で、対話集会の中止を要請し、日ロの協議の結果、今年は「対話集会」に代わって領土問題を主要なテーマにしない「住民交流会」が開かれることとなった。

  対話集会の模様(2007年5月)
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日ロの協議の場で、当初ロシア側は、対話集会中止のほかにも、日本側渡航者数の制限、四島に渡航するチャーター船の入港税徴収、同行記者の取材許可証の義務付けなど要求した。また、根室港と四島との定期航路開設、日ロ共同の道路などインフラ整備などを事業継続の条件に挙げた。

これまでにも四島訪問事業でのロシア出入国カードの提出要求などがあったが、今回、ロシア側が強硬な姿勢を見せている背景には、「北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律(北特法)」の改正(09年7月)により北方領土が日本の「固有の領土」と規定されたことのほか、訪問団を受け入れるロシア側住民が事実上同じ人々であり、対話集会を毎回一から始めることに嫌気がさしていることも影響しているらしい。

結局、今年は例年どおりの規模で事業を行うことをロシア側は受け入れ、国後での住民交流会ではロシア人出席者が例年の10数名から100人以上になったそうだ。

第一陣の国後島上陸の際、日本側関係者間の調整不足のためか、チャーター船長が、今回初めてロシア側から提示された入港書類に記入・提出したので、2回目の色丹では、船長の署名が要らないIMO(国際海事機関)の書式による届を日本側で作成し、提出したという。また、ロシア外務省発行の記者証取得を避けるため、同行記者は動画撮影の自粛を当座受け入れた。

チャーター船ロサ・ルゴサ号
d0007923_22431672.jpg入港税については、国後島にあるロシア側の交流窓口が、1年間有効の入港税として約9,700ルーブル(約3万円)支払ったそうだ。日本側から交流事業の経費は一括して四島側に支払われるが、外務省は、入港税として支払うものではないとしている。ロシア国内法の適用をどうにか一見避けた形であるが、今後も同様の問題が続くのではと危惧されている。
四島交流事業を維持したい日本のいわば足元を見ているロシアの狙いは、四島交流の枠を使った経済交流の開始であると指摘する声も多い。

北方四島への日本人の渡航に関する枠組については、こちらをご参照下さい。
【2010年2月7日、3月11日、5月14・15・29日北海道、6月6日毎日新聞より】

●領土交渉に進展なし
2010年6月2日に辞任を表明した鳩山総理は、同日の記者会見で「やり残したことは日ロ関係」と語った。昨年9月の就任時、半年ないし1年で北方領土交渉の進展を図ると表明しており、今年6月以降、メドベージェフ大統領と3回首脳会談が予定されていた。

6月8日、菅総理は就任記者会見で、北方領土問題に対する具体的方針について、「鳩山総理がどういう約束をメドベージェフ大統領とされているのか、あるいはその流れがどうなっているのか、必ずしも詳細に状況をまだ把握しておりません」と答え、これまでの経緯などを十分検討した上で判断すると語った。

再任された岡田外相は、6月9日、ロシアのラブロフ外相との電話会談で、北方領土問題の打開策について協議を継続していくことを確認し、新政権でも日本の対ロ政策に大きな変更はないことを表明。一方、ラブロフ外相は、これまでの日ロ協力関係の発展を期待し、平和条約締結についても、建設的な対話をする用意があると応えた。
対話の姿勢を見せても、北方領土問題に対するロシア側の主張に変化は見られない。ラブロフ外相は、ロシアによる四島の領有は第二次大戦の結果で、日本はそれを認めるべきであり、その上で領土交渉を行うとしても日ソ共同宣言(1956)による歯舞・色丹の返還で決着する(2010年5月19日ロシア下院での発言)、と表明している。

鳩山総理が最後の閣議で、菅氏に渡したメモには「日米、日中、日韓をよろしくお願いします」とあったそうだ。日ロ関係、なかでも北方領土の問題は、最大の懸案ではあるけれども、現在、日本政府が抱えている内政問題や外交交渉のなかで最優先事項には位置づけられていない。今後も当面、日ロともにそれぞれの立場を会談で主張し続けるだけの「領土交渉」になるのだろう。

d0007923_15124614.jpg政府の北方領土問題対策には、外交交渉のほか、内閣府北方対策本部が行う啓発事業があるが、国民の関心を北方領土問題に引きつけ、返還運動を行い続けるのは容易ではなさそうだ。
(写真右)前原沖縄及び北方対策担当大臣のアピール 


【2010年5月20日毎日、6月5日産経、6月9・10日北海道新聞より】


●北方四島周辺水域の安全操業の監視を強化
2010年1月29日、日ロの政府間協定に基づき国後島沖で操業していた、羅臼漁協所属のスケトウダラ刺し網漁船2隻が、ロシア国境警備局のヘリコプターから銃撃を受ける事件が起きた。
その後の海上保安庁の調べで、この2隻は、航跡を記録するVMS(衛星通信漁船管理システム)位置データを約4時間半受信していないことが判明し、さらに、同時に操業していた僚船13隻とホッケ刺し網漁船15隻がVMSを遮断していたことが明らかとなった。銃撃を受けた船の船長は、道海面漁業調整規則違反(区域外操業)で罰金刑を受けた。

北方領土周辺海域での「安全操業」は、領土問題に直結する管轄権を棚上げし、双方の信頼に基づいて行われるものとして1998年に始まった。漁業者はロシア側に協力費を支払い、決められたラインの中で操業する。
これまでにもロシア側による銃撃・拿捕事件が起きており、事件の真相はあいまいにされる場合が多かったが、日本漁船拿捕防止の目的で2009年10月、漁協にVMSが導入された。

1月の銃撃事件を受けて、北海道は、VMSの発信器に細工ができないようにし、操業を常時監視するなどの再発防止策をまとめ、5月11日、道議会に報告した。道海面漁業調整規則違反の罰則も強化され、違反操業者に対する出漁禁止の処分日数が増える。この防止策は、2010年10月からホッケ刺し網漁、11年1月からスケトウダラ刺し網漁から導入される予定である。

スケトウダラの価格暴落により、地元では、ルールを守っていては生活できないとの声がある。しかし、この度のVMS切断事件について、領土問題の犠牲となっている漁業者への同情論はなく、非難の声が強いことを道は危惧し、再発防止に毅然とした姿勢で臨むと報道されている。

北方領土周辺海域での日本漁船操業に関するロシアとの協定についてはこちらもご参照下さい。
【2010年5月11日北海道、13日毎日、6月1日日刊水産経済新聞より】
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by itsumohappy | 2010-06-13 23:57 | その他 | Trackback | Comments(5)