ロシアが気になる

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2008年 07月 30日

最近の話題から

最近の報道からロシアに関する話題を紹介します。

●ゴルバチョフ氏、「大粛清博物館」設立を計画
ゴルバチョフ・元ソ連大統領が、ロシアの人権団体とともに、モスクワのブティルカ刑務所を大粛清の歴史を学ぶ博物館とする計画を進めている。ブティルカは、ルビャンカと並びスターリンによる人民弾圧の象徴的存在で、作家のソルジェニーツィンも軍人のとき収容されていた。ゴルバチョフ氏は、「粛清の犠牲者の名誉回復も不十分なのに、共産主義下の悲劇が忘れられつつある」と危惧している。計画が本格化するかは、プーチン首相の判断次第とも伝えられている。
ゴルバチョフ氏は、ベルリンにあった国境検問所、チェックポイント・チャーリーに「冷戦博物館」を建設する運動も支援している。
【7月30日東京新聞、6月22日オブザーバー、4日BBCニュースより】

●バイカル湖の潜水調査開始
世界自然遺産、東シベリアのバイカル湖に有人潜水艇ミール1、ミール2が潜水し、7月29日、水深1,580m地点まで到達した。ここまで深い地点まで調査するのははじめてのことである。正確な深度を計測し、化石燃料資源の調査も行う。第一段階として9月までに60回、来年の第二段階で100回の潜水調査が予定されている。バイカル湖には固有の動植物が2,500種類以上生息している。

 約2500万年前にできた世界最大の淡水湖(Lake Baikal のサイト
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【7月30日朝日新聞、29日ロシア・トゥデー、24日共同より】

●ワガノワ・バレエ・アカデミー創立270周年
ワガノワ・バレエ・アカデミーは、ロシアで最も古い歴史を持つバレエの名門校で、パブロワ、ウラノワ、ニジンスキー、ヌレーエフ等々を輩出した。その前身は、1738年にアンナ女帝により設立された帝室バレエ学校で、今年で創立270周年を迎えた。

 ワガノワ
d0007923_23375364.jpg1957年、独自のバレエ教授法、ワガノワ・メソッドを確立した教師アグリッピナ・ワガノワ(1879-1951)の功績を称え今の校名となった。毎年、ロシア全土から4,000人以上が受験し、60人ほどが選抜される。10歳で入学し、9年間を過ごすが、卒業できるのは半分以下だそうだ。

【7月25日朝日新聞、15日ロシア・トゥデーより】


●ディープ・パープル、今秋ロシアツアーへ
d0007923_23384167.jpgイギリスのハードロックバンド、ディープ・パープルが、今秋、ロシア主要12都市を巡るツアーを行う。チケットは売り出し中で値段は2,000~10,000ルーブル(1ルーブル≒4.6円)。
メドヴェージェフ大統領はパープルのファンで、LPを集めていた。ガスプロム会長を務めていた昨年、同社の創立15周年行事にパープルを呼んで演奏会を開いた。
ソヴィエト時代、「公的」ブラックリストに載っていた禁制ロックバンドは、AC/DC、アリス・クーパーなど。パープルは含まれていなかったそうだ。
【7月10日RIAノーボスチより】

●サハリン州知事の「ロシア-北海道連結」構想
サハリン州知事ホロシャビン氏は、間宮海峡に、橋またはトンネルを建設する計画を立案中であると表明した。さらに第二段階として、サハリンと稚内を結ぶ大橋構想も描いている。「北方領土問題は鉄道事業に影響しない」と強気の姿勢である。日露を結ぶ鉄路ができれば、現在、インド洋経由で行われている貨物輸送に替わる効率的な手段となり、シベリア周辺の豊富な木材資源の輸送にも役立つ。地元の経済団体も知事の構想を支持し、8月、大橋の「仮想着工式」が行われる。
現在サハリン州では、日本時代に敷設された狭軌の線路をロシア基準の広軌に変える改修工事が行われており、2015年に完了する予定。
【7月14日北海道新聞、6月27日産経新聞、23日ロシア・トゥデーより】

●東京に「アレクサンドル・ネフスキー教会」建設
東京・目黒に「ロシア正教会モスクワ総主教庁駐日代表部教会」(ポドウォリエ)の教会堂が建てられる。8月末に完成予定。モスクワ総主教管区に所属する日本で唯一の教会堂となる。これまで同ポドウォリエには教会堂がなかったが、ロシア人信徒が遺言で宅地を寄贈した。

 完成予想図
d0007923_23395882.jpg聖ニコライの伝道に始まる歴史を持つ「日本正教会」は、ロシア革命後しばらくの間、モスクワ総主教庁と断絶していたが、冷戦の緩和に伴い1970年、モスクワ総主教から「自治教会」として認められたものである。
【ロシア正教会駐日ポドウォリエのサイト、日本正教会のサイトより】
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by itsumohappy | 2008-07-30 23:52 | ロシア | Trackback | Comments(8)
2008年 07月 25日

大泰司紀之他 『知床・北方四島 カラー版-流氷が育む自然遺産』

岩波新書『知床・北方四島』の紹介と四島周辺の生態系保護について。

d0007923_21544329.jpg本書は、大泰司氏(北大研究員)と本間浩氏(毎日新聞記者)の共著。北海道東部と一体の生態系をなす北方四島の豊かな自然を、豊富なカラー写真を交えて解説している。

1998年7月に始まった、北方四島へのビザなし渡航の「専門家交流」(自然科学、農業、教育、医療等の分野での研修や調査活動)の中で得られた、四島での生態系調査の結果をふまえ、美しい自然を日露合同で守る方策を提言する書でもある。環境保護という一般になじみ易い視点から領土問題を考えることもできる。

四島周辺には、クジラ、アザラシ類、熊、鳥類、魚類が多く集まり、オーストラリアやニュージーランドからも海鳥がやって来るそうだ。この豊かな生態系を最下層で支えるのは、オホーツクより来る流氷から溶け出す栄養分で発生する大量のプランクトンである。また、島々の植物の種類も豊富で、色丹島だけでも700種の高山植物がある。

シマフクロウとエトピリカ
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ソ連時代は、四島周辺の自然が手つかずのまま保たれていた。しかし、ソ連崩壊の混乱で密漁が始まり、ロシア時代になってからは、日本市場向けにウニ、カニ、スケトウダラなどが乱獲された。水産資源の枯渇をおそれたプーチン前政権は、極東海域での密漁取締りを強化した。08年3月、根室の花咲港での活ガニの輸入量が16年ぶりにゼロ、ウニが2割減となったのはその影響と見られている。

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カニかご。かごに落ちると出られない。漁具の進歩も乱獲に拍車がかかる。密漁者を捕まえても海に残されたかごの中でカニは共食いし、死臭でさらにカニが来る。カニを永遠に捕り続ける「ゴーストフィッシング」となる(写真:『北海道の漁業図鑑』)



現在ロシア政府が進めている「クリル社会経済発展計画」(07~15年の期間に179億ルーブル(約800億円)をクリルの社会基盤整備や資源探査に投入するもの)に基づく事業も自然破壊を招くと懸念されている。この計画の一環で、国後島では金鉱の開発が始まった。住民には、環境保護より豊かな生活を望む声が強く、自然保護区の職員は孤立しがちであると伝えられている。
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本書は、知床の世界自然遺産の範囲をウルップ島まで拡張し、日露共同で環境保護に取り組むことを提案している。世界遺産条約は、領土問題の未解決な係争地でも、当事国が共同歩調をとれば登録や拡張が可能らしい。日本が知床から四島までを、ロシアがウルップ島から四島までを登録申請する。生態系が同一であるウルップ島を含めることで日露双方の立場を害さない。これは、日露の研究者同士の交流のなかで考え出された案である。かつて、90年代後半、日露のNGOが協力して始めた、ウルップ島と四島の自然保護区を世界自然遺産に登録する運動にサハリン州政府は同意したが、係争地であることを理由にロシア中央政府は却下したという経緯がある。

一方、日本政府は、ロシアが北方四島を不法占拠している現状では、ロシアと共同で四島を含む地域を世界遺産として推薦することは、北方領土問題に関する日本の立場とは相容れない、としている。
しかしながら、共同で生態系保護を行う必要性では日露は一致しており、先だっての洞爺湖サミットの際行われた日露首脳会談において、「日露の隣接地域における生態系保全に関する政府間協力プログラム」を具体的に進めていくことが確認された。

【参考】
2000年8月21日毎日、03年8月24日読売、05年10月12日読売、08年4月30日北海道新聞、06年10月31日『世界週報』、08年4月1日「知床における世界自然遺産区域を北方領土まで拡張させる構想に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書」、外務省のサイト
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by itsumohappy | 2008-07-25 22:16 | 文学・本 | Trackback | Comments(2)
2008年 07月 12日

ホリプロ 『かもめ』

今年3月に開館した赤坂ACTシアターのオープニングシリーズのひとつ、チェーホフの『かもめ』に藤原竜也らが出演。7月10日夜公演(東京・赤坂ACTシアター)の感想です。
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約1,300人入る大劇場では、古典的な演劇の場合、舞台が発する「気」が拡散し薄れてしまう。特に席が後ろのほうだと、『かもめ』のような地味な劇をじっくり味わうのは難しい。チケット取ったのが遅かった割にはまずまずの席だったのだが、それでも舞台と一体感を得るには遠かった。

栗山民也氏の演出は手堅い。原作どおり丁寧に展開していて安心と言えば安心である。しかし、21世紀のきょうび、『かもめ』を新劇場で大々的にやるからには、何か斬新なところが欲しいと感じた。
沼野充義氏の翻訳には今世紀の言葉が混じるのだが、唐突にそれらをせりふに入れても、設定は19世紀ロシアのままであるから、違和感が出るだけである。重厚な古典的演出とも言い切れないし、どの演者もそれなりによかったので、一種中途半端さが少々もったいない気がした。簡素な舞台装置、衣装ですむこの劇に、お金をかけるとすればキャスティングなのだろうか。

トレープレフ、ニーナ、マーシャは、はりきっています!という感じの、若さあふれる全力投球演技。それはそれでよいと思う。トレープレフ、ニーナは、早口になるとせりふが聞き取りにくかった。そこいくとアルカージナ、トリゴーリンの演技はさすがで、緩急、間合い、笑いの取り方も自在である。

『かもめ』では、見果てぬ夢、かなわなかった夢、あきらめの人生、あきらめない人生等の様相が描かれている。10代の人も多く見受けられた公演だが、原作を読まずに観た場合、そのようなチェーホフの世界を、彼らがどう感じたか聞いてみたいものだ。

東京公演は終了。7月18日から大阪、その後8月上旬にかけて広島、愛知で上演されます。

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【キャスト】
トレープレフ・・・藤原竜也
トリゴーリン・・・鹿賀丈史
ニーナ   ・・・美波
マーシャ  ・・・小島聖
アルカージナ・・・麻実れい

ドールン   ・・・中嶋しゅう
シャムラーエフ・・・藤木孝
ポリーナ   ・・・藤田弓子
メドヴェジェンコ・・・たかお鷹
ソーリン   ・・・勝部演之
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by itsumohappy | 2008-07-12 23:32 | 演劇 | Trackback | Comments(0)