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2007年 07月 25日

「ナーシ」のサマーキャンプ

「ナーシ」(Наши/英語でOurs)は、2005年に結成されたプーチン大統領支持の青少年団体。大統領顧問であるスルコフ氏が組織したとされる。団員は現在約10万人で、孤児院や老人ホームで奉仕したり、青少年に酒・タバコを売る店にピケを張るなど「愛国的活動」を行っている。最近の目立った活動では、07年4月、エストニア政府が、首都タリンにあったソ連兵の銅像を「ソ連による占領の象徴」として移設したことに対して、在モスクワのエストニア大使館を包囲して抗議デモを行ったことがあげられる。「ナーシ」の活動の資金源は明らかにされていないが、クレムリンが援助していると言われる(当局は否定)。

ロシア国家とプーチン大統領の偉大さを称え、大統領を批判する者・政権に敵対する者をファシスト呼ばわりするこの団体は、しばしば「大統領の親衛隊」とメディアに出ているが、組織的にはソ連時代のコムソモール(共産主義推進のための青年組織)に近いもののようだ。

7月11日から23日まで、その「ナーシ」のサマーキャンプがモスクワ近郊セリガー湖畔で開かれ、青年1万人が参加した。学習会やカラシニコフを使った教練が行われたが、教練は、戦闘のためというより軍隊での新兵いじめ(ロシアでは深刻な問題になっている)に対抗するためのプログラムとのこと。

7月22日には、プーチン大統領の後継者候補とされるイワノフ、メドベージェフ両第一副首相がそろってこのキャンプを訪問し、青年達と対話を行った。その際、イワノフ氏が国際問題、メドベージェフ氏が内政を語ったということで、前者が大統領(憲法で外交を担当すると規定)に、後者が首相(内政を担当)に就任するとロシア国内で観測されているそうだ。

d0007923_084155.jpg政治団体「もう一つのロシア」の活動などで、大統領を批判しているカシヤノフ元首相(左)と元チェス世界チャンピオンのカスパロフ氏(中央)の娼婦姿のポスターが、キャンプサイト内の「赤線地帯」と名づけられた場所に掲示された。
(Sergey Ponomarev氏撮影/AP)


(2007年7月19日ロイター、18日AP、24日北海道新聞ほか より)
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by itsumohappy | 2007-07-25 00:18 | ロシア | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 22日

旧地名への復帰プロジェクト

7月17日、皇帝ニコライ2世一家の追悼式がロシア各地の多くの教会で行われた。銃殺場所のエカテリンブルグにあるイパチェフ館の跡地に建てられた血の上の教会でも終夜祈りが捧げられ、遺体が運ばれた道を辿る十字架行列が行われた。
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上:血の上の教会

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皇帝一家は2000年に列聖された。右はイパチェフ館。「聖地」化をおそれ、当時のスベルドロフスク(現エカテリンブルク)州第一書記だったエリツィン氏により77年に解体されたが、跡地に現地の人々は十字架を立て、当局が抜いてもまた立てていたという。

来年、皇帝一家の虐殺から90周年という節目を前に、「復帰」という正教会及び信徒の団体が、地下鉄の駅「ヴォイコフスカヤ」を改名する要請活動を行っている。「ヴォイコフスカヤ」は、ピョートル・ヴォイコフ(ボルシェヴィキ。皇帝一家の処刑に関与し、子供たちの遺体に硫酸をかけた)にちなむもので、皇帝の殺人者名を使うのは好ましくないというのがその理由。この駅がペテルブルクに通じる道にあることから「ペテルブルグスカヤ」を新しい名前として提案している。

「復帰」は、ソ連時代、革命風に改名された通りや広場の名前を以前の地名などに戻す運動をしており、他に「レーニン通り」「1905年通り」等々が改名候補にあげられ、要望リストはモスクワ市当局に提出される。

モスクワ市議会副議長や市長もこの地名の「美化」運動に理解を示し、市としても通りの名が「醜い」ものは、代わりに「プーシキン」「チェーホフ」などを使うことを検討している。副議長は、地名変更は、あくまで反ボルシェヴィキの観点から行うもので、社会に混乱や対立を起こすようなやみくもな改名運動は支持しないが、「ヴォイコフスカヤ」は市の地図に載せる名に値しないと発言した。

正教会内の一部は、地名改名要請のほか皇帝一家の死から90周年を祈念するものとして、モスクワのボリショイ劇場前の広場にあるマルクス像を08年に撤去し、代わりに現在モスクワ郊外にあるニコライ2世像を移設することを要望した。これに対し、ニコライ2世の時代は戦争も招いた最も悲惨な時期だったとし、歴史的なモニュメントはこれまでどおり維持されるべきと反対する声もある。
(2007年4月12日、7月18日他インターファクス、血の上の教会紹介ページ(写真)より)
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by itsumohappy | 2007-07-22 01:24 | ロシア | Trackback | Comments(0)
2007年 07月 13日

最近の話題から

最近の報道からロシアに関する記事を紹介します。

●2014年冬季五輪開催地、ソチに決定
7月4日、冬季五輪の開催地に、ソチが決選投票で韓国の平昌を逆転して選ばれた。ロシアでは初めての冬季五輪となる。大統領自ら誘致活動に乗り出し、IOC総会が開かれたグアテマラにスケートリンクまで持ち込んだというからすごい意気込みである。これから120億ドルを超える規模の予算を投入し、11個の施設を集約させた五輪パークを建設するそうだ。予算のうち1億ドルを環境対策に投資し、自然環境にも配慮する。

ソチは、黒海とコーカサス山脈の間にあるロシア最大のリゾート地で、「ロシアのリビエラ」とも言われる。人口40万人、100以上の民族を抱える。温泉や広大な森に恵まれ、大統領の別荘もある。1年のうち200日は晴れで、4月~10月まで海水浴ができ、10月~5月までスキーを楽しめる。ヨーロッパとアジアの中間に位置するソチの歴史はビザンティンの時代までさかのぼるそうだ。

バナナやヤシの木もあって南国パラダイスのイメージだが、チェチェンに近いのが難か。その隣国イングーシでも、7月6日に武装集団がロシア軍駐屯地を襲う事件が起きるなど、北カフカス地域ではテロが頻発しているという。
テロ対策が最大の課題となりそうですね。
【ソチの五輪サイト、2007年7月7日日本経済新聞より】

●プライスウォーターハウスクーパース、ユコスの監査報告書を撤回
6月24日、大手監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、プーチン政権によって解体されたロシアの石油大手ユコスの1994年~2004年の間の監査報告書を撤回すると発表した。

その理由は、監査報告が、ユコス経営陣が提供した不正確な情報に基づくものであったことが判明したためとしている。PwCは否定しているが、同社は、ロシアでの営業取り消しをちらつかせたクレムリンの圧力に屈したとの説がある。ユコスの元オーナー、ホドルコフスキーの弁護士や同社の大株主は、この件でPwCを告訴した。

PwCの営業許可は4月に更新されたが、その前月、同社はユコスの脱税を導いたとして有罪判決を受けた(PwCは控訴)。さらに、PwCモスクワ事務所が、2.43億ルーブルを脱税したとして係争中である。脱税騒ぎはロシアでの顧客離れを招く懸念があるが、PwCは「影響はない」と強気の姿勢である。
【2007年6月24日フィナンシャル・タイムズ、26日BBCニュースほかより】

●ボリショイ・バレエの「海賊」
ボリショイ劇場のラトマンスキー芸術監督の新演出によるバレエ「海賊」が、6月、同劇場で上演された。「海賊」は、バイロンの詩を基にしたストーリーで、パリで初演された2年後(1858年)にボリショイに登場した。近年ボリショイでは、1992年と94年に上演された程度。今回の新版は、1899年のプティパ版の衣装・振付を踏まえつつ現代的なセンスを加えたもので、花園のシーンはより華やかに、難破船の仕掛けはより大がかりになり、上演時間は約3時間半の大作とのこと。6月21日から4回上演され、初日は、主役をザハロワ(メドーラ)、マトヴィエンコ(コンラッド)が演じた。キャストを見るとこの版にはアリ役はいない。

初日のザハロワの舞台(イタル・タス通信)
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ボリショイ・バレエ団は、7月22日の今期シーズン終了後渡英し、30日から8月18日まで、この「海賊」や「スパルタクス」、「明るい小川」などを含む引越し公演をロンドン・コロシアムで行う。バレエ団の主なプリンシパルが多数出演する。
この頃ロンドンにいる方は、新しい「海賊」の鑑賞はいかがですか。スケジュール・料金等はこちらのサイトから。ちなみに「白鳥の湖」の公演はないです。
【2007年6月29日 モスクワタイムズより】
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by itsumohappy | 2007-07-13 01:23 | ロシア | Trackback | Comments(4)
2007年 07月 11日

ロシアとの漁業協定

2007年4月、プーチン大統領は年次教書演説で、外国企業への漁獲枠供与を停止する方針であると発表した。これを受け、各国との漁業協定の廃止・見直しも検討されることとなったが、6月、ロシア側は、入漁料などでロシアに利益をもたらしているとして、日本との協定の枠組みはこれまでどおり維持されると明言した。また、5月にロシアで公布された活ガニ輸出禁止の省令についても、その後、大統領が「禁止したのは密漁・密輸」と語り、通関を受けたものは輸出可能であることが判明して、いっとき日本中を震撼?させた混乱は避けられた。

日本が現在ロシアと結んでいる漁業協定は以下のとおり。
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漁獲枠、隻数、見返り金等の操業条件は、毎年日ロ政府間で協議され(貝殻島昆布操業を除く)、協定が結ばれる。これらの協定では、カニの操業は認められていない。

日本漁船のだ捕事件は、上記協定違反とロシア主張海域での操業による。最近では、第88豊進丸(6月。日ロ漁業協力協定違反)、第38瑞祥丸(1月。北方四島周辺水域操業枠組み協定違反)、第31吉進丸(06年8月。ロシア主張海域でのカニ操業。1名死亡)のケースがある。(豊進丸の乗組員は、いまだにカムチャッカに拘束されており(7月10日現在)、日本政府は、保証金の提示なしの拘留は不当として7月6日、国際海洋法裁判所に提訴している。)

ロシア政府は、資源管理政策を強化しており、6月に野付半島沖(根室)で行われた北海道・ロシア国境警備隊の洋上会談においても、カニ・ウニの一層の密猟取締りについて言及したとのこと。
特にカニについては、資源の枯渇が懸念されている。タラバガニの漁獲許容量は32,800トン(1996年)から2,160トン(2005年)に落ち込んだ。
また、2003年、極東水域におけるロシアのカニ類漁獲許容量が約52,000トンであったのに対し、日本のロシアからの輸入量は約74,000トンであった(北海道大学スラブ研究センター)。日本の輸入統計との開きが大きいと以前からロシア政府は指摘している。

(2007年6月14日読売、6月9、16、20、7月6日北海道新聞より)
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by itsumohappy | 2007-07-11 00:22 | その他 | Trackback | Comments(2)
2007年 07月 04日

チャイコフスキー国際コンクールで日本人大活躍

2007年のチャイコフスキー国際コンクール(メインスポンサーはトヨタ)で、日本人が2部門で優勝した。めでたいですね。
今年は、ピアノ、バイオリン、チェロ、声楽部門でのコンクール参加者202名のうち、4分の3は旧ソ連構成国と日中など極東の出身者が占めたそうだ。

チャイコフスキーとモスクワ音楽院
d0007923_22333374.jpgバイオリン部門で優勝した神尾真由子さんは、現地で絶賛を浴び、金メダルはとるべくしてとったとのこと。音楽家の家ではないらしいが、生まれながらの天才(もちろん努力もしているんでしょうが)なのですね・・・。

神尾さんの使用バイオリンは、1727年に製作された名器ストラディヴァリウス。時間が経つごとに音がどんどん良くなる完ぺきな楽器という。

現代の名器を選ぶべくチャイコフスキーコンクールには、1990年よりバイオリン属製作部門もある。バイオリン、ビオラ、チェロとそれらの弓の製作で6部門。バイオリンとビオラの金メダルの賞金2万ドルは演奏部門の賞金と同額である。

今コンクールのバイオリン製作部門では、菊田浩さんが優勝した。さらに、2位に高橋明さん、4位に天野年員さん、6位&最優秀音響賞に岩井孝夫さんという受賞ラッシュだった。皆さんイタリアのクレモナで製作を学ばれている。もっともっとニュースになってもいいくらいの快挙である。

製作部門コンクールは、演奏部門に先立って6月1~13日に行われた。楽器の審査に当たっては、製作者の名前は伏せられ、審査員から楽器が見えないようにカーテンの後ろで演奏される。3位までの受賞作品は、コンクール事務局に納めることとなっており、グリンカ音楽博物館などに収蔵される。
せっかくの作品、コンクールの後に音色を聴く機会はなさそうですね。
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      コンクール会場のひとつ、モスクワ音楽院大ホール

(2007年6月13日毎日新聞、30日朝日新聞、チャイコフスキー国際コンクールのサイトより)
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by itsumohappy | 2007-07-04 01:20 | 音楽 | Trackback | Comments(3)