ロシア文化フェスティバル2007の行事の一環として行われたバレエ公演の感想です。(Bプログラム・9月2日/新国立オペラ劇場)
男女ペアが次々に登場するガラ公演だが、マリインスキー組とボリショイ組が入り乱れて踊るのではなく、前半、後半ときっちり別れてやっていた。バックに「その他大勢」がいないため舞台がちょっとさみしい。バレエは、1年に1,2度行くか行かないかという私にとって、たまに行く時は全幕ものばかりなのでよけいそう感じたのかも。いや、もっと良い席で観ればじっくり鑑賞できるでしょうが。今回、バレエに詳しくない自分としてはがんばったほう(B席14,000円:2階後方やや中央寄り)だが、それでも舞台まで遠いなぁと感じた。公演が始まってから気がついたが、席が暗いので手元の配役表が見えず、次の演目が何か、誰が踊るのか(たとえ知らない名前でも)わからないのは落ち着かないものだ。イヤホンガイドがあったのは終わってからわかった。 演目は以下の通り。 ★マリインスキー・バレエ 1.アルレキナーダ (エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/アントン・コールサコフ) 2.病める薔薇 (ウリヤーナ・ロパートキナ/イワン・コズロフ) 3.眠れる森の美女/第3幕のパ・ド・ドゥ (アリーナ・ソーモワ/アンドリアン・ファジェーエフ) 4.ジゼル/第2幕のパ・ド・ドゥ (オレシア・ノーヴィコワ/ウラジーミル・シクリャローフ) 5.イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド/アダージョ (イリーナ・ゴールプ/ イーゴリ・コールプ) 6.タリスマン/パ・ド・ドゥ (エカテリーナ・オスモールキナ/ミハイル・ロブーヒン) 7.瀕死の白鳥 (ウリヤーナ・ロパートキナ) 8.海賊/第2幕のパ・ド・ドゥ (ヴィクトリア・テリョーシキナ/レオニード・サラファーノフ) ★ボリショイ・バレエ 9.ばらの精 (ニーナ・カプツォーワ/イワン・ワシーリエフ) 10.ライモンダ/第2幕のアダージョ (ネッリ・コバヒーゼ/アルテム・シュピレフスキー) 11.白鳥の湖/第3幕の黒鳥のパ・ド・ドゥ(エカテリーナ・クリサノワ/ドミートリー・グダーノフ) 12.スパルタクス/第3幕のパ・ド・ドゥ (スヴェトラーナ・ルンキナ/ルスラン・スクヴォルツォフ) 13.ミドル・デュエット (ナターリヤ・オシポワ/アンドレイ・メルクーリエフ) 14.ドン・キホーテ/第3幕のパ・ド・ドゥ (マリーヤ・アレクサンドロワ/セルゲイ・フィーリン) 可能な限りの身体表現の妙で、ロシアの伝統芸能ここにありという感じだった。ダンサーの個性は実にいろいろで、腺病質系もいれば体育会系もいる。どちらのタイプもよい。 2演目に出たロパートキナ(右)の体(腕)の線のゆらめきはひたすら美しい。ただ立って腕をさっと動かすだけでも絵になる、存在そのものが芸術のよう。まさに「瀕死の白鳥」がぴったり。「病める薔薇」にも見入ってしまったが、前衛音楽でもないのに(マーラー5番)、何故かオーケストラを使わずくぐもったテープ演奏。で、最後、ぶちん。とか言ってストップ音が聞こえてしまうロシア的鷹揚さ?が雰囲気を壊してやや残念だった。 体育会系の女性といえば、アレクサンドロワ(上の写真)。死んだり病んだりは似合わない、がっちり健康美で力強く頼もしく、ロパートキナとは別な意味で存在感たっぷり。来年末予定のボリショイ来日公演ではアレクサンドロワが出演するドン・キホーテをぜひ観よう!と思った。 体育会系男性はロブーヒン。際立って体格よく、とりゃーという感じで飛び跳ねていた。 総じて女性も男性もよく回りよく跳んでいた。きれいに踊っていてもあまり印象に残らない方もいたが、一体何が違うのだろう。 ペアで踊ると女性のほうに目が行ってしまって男性ダンサーをあまりよく見ていなかった。それでも金髪王子様系、シャープなモダン系、伊達男系、若さはじける系などいろいろあるものだ。コンテンポラリーダンスもよかった。「イン・ザ・ミドル・・・」は面白かったがとりわけ短くてダンサーの個性がよくわからなかった。 ロパートキナのほかにカーテンコールを多く浴びていたのは「海賊」「スパルタカス」「ドン・キホーテ」の出演ダンサー。でもサラファーノフは、去年の来日公演で見たときのほうがもっと跳んでいた。あと、クリサノワの黒鳥がずいぶん回転技を見せてくれて印象に残った。 ラストは、出演者が入れかわり立ちかわり舞台に登場したあと、勢ぞろい。紙テープを浴びて華やかに終わった。 主催者によれば、この合同公演は、10月5日夜NHK教育TVでダイジェスト放映される予定です。
by itsumohappy
| 2007-09-05 00:23
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