モスクワ、サンクトペテルブルクなど大都市を中心に、ロシアで極右(ネオナチ)の若者グループによる外国人襲撃事件が増加している。アムネスティによると、昨年は、28人が殺害され366人が負傷し、06年5月8日現在、15人が殺害されている。
外務省の渡航情報でもスキンヘッド等に近づかないよう注意が出ている。 外国人排斥を叫ぶスキンヘッドの総数は、全世界で推定12万人、うちロシアには5万人と言われ世界で最も多く、ロシアへは1990年、ソ連時代の末期に西側から「輸入」された。ペテルブルクには1.5万人が集中しているそうだ。 領事館情報によれば、ペテルブルクの犯罪増加率は対前年比41.1%増で、主要都市で最高の増加率だったが、特にスキンヘッドの若者集団による外国人殺傷事件が日常的に発生するようになったとのこと。1月から4月までペテルブルクだけでも、 エジプト人襲撃される/イスラエル人留学生殴打される/アフリカ人留学生殺害される/中国人女子留学生殴打され負傷/ベトナム人留学生殴打される/アフリカ系ロシア人少女顔を切られる/インド人留学生ナイフで刺され重傷/セネガル人留学生射殺される/モンゴル人学生2人殴打され重傷・・・といった事件が起きている。ロマンチックな北のベニスの別の顔である。 ペテルブルクサミット開催を目前に控えている同地出身のプーチン大統領は、ネオナチ勢力による襲撃事件に懸念を表明。ペテルブルクでは、ソ連崩壊後、軍関係の施設が閉鎖されて失業者が増大、貧富の差が広がって過激な民族主義思想が助長され、市内に多く住む外国人が暴力事件のターゲットになっていると言われる。 04年にペテルブルクで起きた、タジク人少女が十数カ所をナイフで刺され死亡した事件の容疑者に対し、今年、事実上の無実判決である狼藉の罪が言い渡された。 アムネスティなど国際的な人権団体は、民族主義に対するロシア政府の取り組みが不十分だとして非難している。今のロシアは、ファシズム台頭前夜の1920年代当時のドイツの状況-失業者数が増大するなかで登場したユダヤ人排斥運動をドイツ官憲は野放しにした-に似ているという指摘もある。 (2006年4月18日東京新聞、5月5日産経新聞、5月8日・10日読売新聞より)
by itsumohappy
| 2006-06-04 23:15
| ロシア
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