2006年 05月 19日

ウラジオストク青年劇場 「かもめ」

d0007923_2354939.jpgロシアのウラジオストク青年劇場(青年ドラマ劇場)が来日し、東京でチェーホフの「かもめ」(5月12日~14日)を、岩手県で日本の民話を基にした芝居「うたよみざる」(16、17日)を上演した。
13日、「かもめ」を観に行った。

劇場のシアターX(両国)ははじめてだったが小規模な空間で、演劇をじっくり鑑賞するのにふさわしい雰囲気だった。俳優の演技をじかに感じてもらえるように字幕、イヤホンガイドを使わないという主催者のコンセプトで、せりふは全てロシア語。原題は「ほら、これがおまえの劇場だ」(Вот тебе и театр)。4幕の「かもめ」を作家2人と女優2人の2幕の物語に構成していて、従って登場人物は4人だけ。

舞台装置は、天井から丸ワイヤーに薄い白布が4、5枚くらいに分けて長いカーテンみたいに(カーテンが全部閉じられると白い円筒みたいになる)下げられた台、つまりトレープレフの「劇場」が真ん中に置かれただけの簡素なもの。
開場して、どこに座ったらよいか迷っていたら、劇場の係の方から前のほうを勧められ、ロシア語もわからないのにずうずうしくも一番前の真ん中に座ってしまった。

ストーリーは日本語で読んでいたので、ああ、あそこの場面、あそこのせりふだなぁと見当はだいたいついたが、はじめは慣れなくてしばらく落ちつかなかった。観ているうちにだんだん俳優の表情やせりふ回し(意味はわからないけど)の妙を楽しむことができた。衣装も白を基調としていて全体に品のある舞台だった。

アルカージナは(尊大な)大女優らしく、ニーナは世間知らずの純情な女優志願らしく(都会に出る前だが)。トレープレフは、パンフレットに「今日風に言えばニート」なんてあってなるほどと思ったが、才能への迷いと嫉妬が伝わってきたし、トリゴーリンはまるでチェーホフがもう少し長生きしたらあんな感じかも?と思うような、優しい、しかし人生をよく知っている(世知にたけた)という雰囲気だった。
音楽は、映画「ゴッドファーザー」で使われたものが流れていた。もの悲しいメロディーが劇のイメージには合っていたが、映画のほうをつい想起してしまった。ゴッドファーザーも一種の家族劇だからってことで使用したわけでもないと思うが・・・。

チェーホフは「かもめ」を「喜劇」としている。私には喜劇と感じるまで達観できないので、せめて喜悲劇かなぁと思ったりする。

ウラジオストク青年劇場は、青少年のためのドラマの劇場として1954年に創設され、古典演劇をはじめ、現代演劇、音楽劇などレパートリーが300あり、「かもめ」は、人気レパートリーの1つとのこと(2006年5月11日 毎日新聞)。
今回はたまたまブローグニックさんの紹介で観に行くことができたが、大規模でない演劇公演の情報は外国のものであれ日本のものであれ注意していないと気がつきにくいものだ。

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「かもめ」
企画:ウラジオストク青年劇場 
芸術監督:ビクトル・ガルキン 
出演:
アルカージナ:ガリーナ・コプィロワ(功労俳優)
トリゴーリン:アレクサンドル・ヴォロシャンコ(功労俳優)
ニーナ:ポステルナック・ラリーサ
トレープレフ:アンドレイ・トロフィーモフ

ロシアには、功労俳優とか功労芸術家とか国が優れた芸術家を認定する制度があるようだ。

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ウラジオストクは、札幌市とほぼ同緯度で、1860年に海軍基地として建設された。1890年には沿海州の州都となるなど、ロシア・ソ連の太平洋への玄関口として発展。1952年、軍事上の理由で閉鎖都市となったが、1989年にソ連市民に、1992年に外国人に開放された。

ウラジオストクの名称は、1860年、同地に派遣されたロシア軍に、皇帝が「ヴラジェイ・ヴォストーカム」(「東方諸地域を支配せよ」)と命じたことに由来するという説が有力。
人口は、約61万人(2005年1月現在)で、住民の大多数はロシア人。極東地域最大の都市であるが人口流出が続いており、92年以降、年率約1%の割合で減少している。

1907年(明治40年)に日本領事館が設置された。明治のはじめから日本人が移民しており、1920年代初頭には6000人近くの日本人が居留していたと言われている。
敦賀~ウラジオストク間の連絡船とシベリア鉄道を乗り継いで欧州に向かうルートは、当時の日欧連絡の最速ルートの一つだった。

ウラジオストクは、新潟、富山、大阪から飛行機で2時間弱。富山からは船「ルーシ号」が出ている。新潟市、函館市、秋田市と姉妹都市。
市民の日本への関心は高く、日本総領事館が行っている文化行事は常に盛況らしい。
在ウラジオストク総領事館のHPより) 
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by itsumohappy | 2006-05-19 23:25 | 演劇 | Trackback | Comments(0)
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