ロシアが気になる

amihappy.exblog.jp
ブログトップ
2006年 02月 07日

北方領土の日 ― ロシアとの領土問題 1

2月7日は「北方領土の日」。新聞1面にも政府広報が出ている。西暦1855年のこの日、日魯通好条約(日露和親条約)が筒井正憲・川路聖謨とプチャーチンにより下田で調印された。露暦では1月26日、旧暦では安政元年12月21日、ペリーによる開国から約9ヶ月後のことである。
この条約で日露の国境は択捉とウルップの間とされ、樺太の国境は設けず、両国民の雑居状態のままとされた。

川路とプチャーチン
d0007923_2235341.jpg政府は、81年、第二次世界大戦後からソ連(ロシア)に不法占拠されている北方領土(歯舞〔諸島〕、色丹、国後、択捉の4島)の返還を訴えていくため、「北方領土の日」を制定した。例年この日には、返還要求のための全国大会が九段会館(昔の軍人会館)で行われる。

日魯通好条約が調印された下田の長楽寺
d0007923_2236167.jpg北方領土問題に対する日本の主張は、1855年の日魯通好条約で国境が平和的に画定されたように北方領土は日本固有の領土であり、サンフランシスコ平和条約(51年)で日本が南樺太とともに放棄した千島列島には含まれず、ロシアによるこの地の占拠は不当というものである。
日魯通好条約は、日露の国交を樹立した記念すべき条約であるが、現在、この条約は失効しており領土主張の直接の根拠とはならない。

日ソ共同宣言(56年)による日ソ国交回復から現在まで、歴代の日ソ(露)の指導者同士で北方領土問題に関する交渉・解決促進のための政治文書が多く作成された。これらは指導者間の重大な約束ではあるが強制力はない。現在、日露双方を法的に拘束するのは日ソ共同宣言であり、領土交渉でのロシアの主張は、共同宣言に基づき平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡す、という内容から一歩も進むことがない。

プーチン大統領は、ロシアの北方領土領有は戦争の結果であり、国際法でも決まったことである、などと語っている。国際法、とはどうやらヤルタ協定のことらしいが、ロシアには北方領土、千島列島、南樺太を占有する法的な根拠があるとは言えない。
当時のソ連は、サンフランシスコ平和条約への調印をボイコットした(従って同条約による権利や利益は受けられない)が、その平和条約では、千島列島の範囲や日本が放棄した領土の最終的な帰属先が何故か規定されなかったことが今日の不法占拠へとつながったと考えられる。

そういうわけで、教科書など日本の公的な地図は、4島は日本本土と同一色、千島列島と北緯50度以南の樺太は国際法上は帰属未定地(でもユジノサハリンスク〔旧:豊原〕には日本総領事館がある!)なので白地色とし、国境線の表示も指定の箇所が決められている。で、下の図が政治的に正しい地図(のつもり)。千島付近の地名はアイヌ語に由来している。つまり、もともとはアイヌの住んでいた土地である。
d0007923_22552825.jpg

地図上で北方領土は日本領と主張しても現実は厳しく、同地には約1万4千人のロシア人が住んでいる。(歯舞は国境警備隊のみ) ソ連時代は、辺境地域として給料や年金が優遇されていたので移住してきた人々も多い。国後には50以上の民族がいるらしい。プーチン政権は、今後10年間で246億ルーブル(984億円)の予算を投入する「クリル経済社会発展計画」を打ち出し、4島などへの発電所、港湾、道路整備など行っていく予定である。(北海道新聞2005年10月14日) つまり日本に返す気など全然ない。
主権問題が決着していないので、日露共同でこの地の開発を推進するというのも(日本側には)難しい。

政府は、国民に、領土問題解決まで北方領土に入域(入国ではない)することを控えるよう指導している。そのため日本の旅行業者の北方領土ツアーなどはない。ただし、サハリンを経由すれば訪れることは不可能ではない。写真で見ると自然の美しい島々で、温泉もありちょっと行ってみたい気もするが…。
北方領土を訪問できるのは墓参りをする旧島民など。ほか、関係者や専門家等を対象に4島在住ロシア人との交流などもロシア政府との合意のもと政府の事業として行われている。
今年の北方領土の日でも領土返還がアピールされたが、小泉首相は去年に続き欠席した。今年は挨拶の代読すらなかったそうで、靖国と違ってあまり関心がなさそうだ。
全然進展しないこの領土問題、指導者が解決への決意を示さないとますますロシアにうやむやにされてしまうかもしれない。
平均年齢70歳を超える元島民をはじめ関係者の人々はさぞもどかしい思いであろう。

*****
(注)ロシアはソ連の承継国家であり、日ソ間の全ての条約や国際約束は、日露間に引き続き適用されることが確認されている。
[PR]

by itsumohappy | 2006-02-07 23:15 | 歴史・領土問題 | Trackback(1) | Comments(0)
トラックバックURL : http://amihappy.exblog.jp/tb/2654878
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from 北海道ブログ★情報バンク at 2006-06-07 16:23
タイトル : 北海道新聞
北海道新聞のHPには移住者のなまの声が聞ける動画があります。... more


<< ヤルタ会談 ― ロシアとの領土...      ソルジェニーツィン 『イワン・... >>