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2010年 05月 31日

元シベリア抑留者への給付金支給法案

戦後、ソ連やモンゴルに強制抑留された人々に特別給付金を支給する法案(戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法案)の成立が待たれている。同法案は、元抑留者に抑留期間に応じて1人25万円から150万円を給付することを柱とするもので、今年9月に解散予定の独立行政法人「平和祈念事業特別基金」を13年3月末まで存続させて、その基金約200億円を給付金の財源に充てる。法案は、2010年5月21日、参議院で全会一致で可決され、5月中に衆議院でも可決・成立が見込まれていたが、昨今の国会情勢の影響により5月末現在も衆議院で審議中である。

元シベリア抑留者への補償に関して、日ソ共同宣言(1956)で両政府は相互に賠償請求を放棄したため、元抑留者たちは、日本政府に対し、強制労働の未払い賃金の補償と謝罪を求め、法廷で争ってきた。しかし、いずれのケースも敗訴確定または敗訴となっている。全国抑留者補償協議会(全抑協)が、国に未払い賃金の補償を求めた訴訟での最高裁判決(1997.3.13)では「抑留も、国民のひとしく受忍しなければならなかった戦争損害のひとつであり、抑留の補償には立法措置を講ずることが必要である」とされた。全抑協はこの判決を受けたのちは、補償を実現する立法に向けた要請活動を続けてきた。04年以来、元抑留者に給付金を支給する法案は、野党(民主党等)から度々国会に提出されたが、廃案ないし否決が繰り返された。09年の政権交代により、元抑留者に対する国からの給付金支給の実現性が高まったが、政府内には、別の国家補償問題に波及するとの懸念も根強いと言われる。この度の法案が政治決着により成立することが期待されている。

法案には、「特別給付金の支給」のほか、強制抑留の実態調査等(抑留者の埋葬場所、遺骨等の収集、抑留の実態解明その他)に関する基本方針を定めることが盛り込まれている。なお、特別給付金の支給対象は、「法律の施行の日において日本の国籍を有するもの」であり、日本軍に徴用された朝鮮半島出身者など外国籍の元抑留者は対象外である。

【2009年10月15日毎日、2010年1月9日読売、5月14日毎日、5月21日北海道新聞より】
当ブログの関連記事もご参照ください。

【参考】
以下、長いですが、全抑協会長でシベリア立法推進会議代表でもある平塚光雄氏の声を一部紹介します。
 
・・・自公政権は、シベリア抑留問題への対応は10年9月(注1)で完全に幕を引くと決めていた。代わりに記念品を配る事業を実施したが、07年に届いた記念品に添付されていたちっぽけな送付状には「先の大戦における御労苦に対し心から慰藉(注2)の念を表します 内閣総理大臣」とあるだけで、当時の安倍晋三首相の名前も日付も記入されておらず、あぜんとした。首相官邸に送付状を返却しに行き、抗議すると、官房副長官も「お怒りは当然」とすぐに送付状を作り直し、あらためて送ってくれた。その時一緒に官邸を訪れた仲間のうち、この2年半で半分の4人がすでに他界した。私自身も今年の正月は病院で迎えた。もはや残された時間は少ない。
 小泉構造改革の後遺症と空前の不況で、国の支援を必要とする社会的弱者は他にも多い。私たちだけを特別扱いせよと求めるつもりはないが、遅れるなら遅れると説明し、どうしてもできないのであれば、理由を明らかにして謝罪してほしい。
 すでに野党側の了承も得られている今回の法案も、あれだけの過酷な重労働3年に対し、25万円の特別給付金では少なすぎるという気はする。だが、金額の問題ではない。強制労働を国として受け止め、その責任を認めてくれるのであれば、尊厳回復のあかしとして、私たちはそれを受け入れようと決めている。国として、歴史的、政治的にけじめをつけていただきたい。
 私たちは国と和解することを望んでいるが、私たちの声がどこまで鳩山首相に届いているのかもわからない。もどかしさと焦りを禁じ得ない。
 「領土はなくなることはないが、人のいのちには限りがある」と語って、1956年にソ連との交渉のためモスクワに赴いたのは、首相の祖父の鳩山一郎首相だった。
 シベリアで弔いもできないまま多くのいのちを見送ってきた私たちのいのちがあるうちに、抑留問題のけじめをつけていただきたい。


 (注1)当初予定されていた平和祈念事業特別基金の解散時期
 (注2)いしゃ。慰めいたわること。

出典:(私の視点)シベリア抑留 今こそ国はけじめをつけよ (2010年2月18日 朝日新聞)


【追記】
2010年6月16日、第174回通常国会の最終日に、戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法案は成立し、同法は即日公布・施行された。

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by itsumohappy | 2010-05-31 19:15 | 歴史・領土問題 | Trackback | Comments(2)
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Commented by cccpcamera at 2010-06-03 08:32 x
鳩山先生は辞めちゃったけれど、この法案はどうなるのでしょう。自民も賛成だから大丈夫かな。
日本人が外地で失った財産の多くは補填されていないのだから、シベリア抑留の労賃だけ日本政府が保証するのはおかいとの主張もあるようです。
最近、岩波新書や平凡社新書からシベリヤ抑留関係の解説書が出版されています。必ずしも、日本人が一方的に被害者であるとの視点ではなくて、時代の経過を感じます。
Commented by hiro at 2010-06-05 21:31 x
こんばんは。
これ書いたときとまた事態が急展開といいますか変化しました。。おそらく次に持ち越されるかもしれません。間がわるいですね。
国が始めた戦争であるから補償せよ、ということらしいですが、では空襲の被害はどうなんだとかいろいろ出てきますね。
南方帰りの人たちと扱いが違ったことも背景にあるのかもしれません。


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